令和5年(2023年)から導入されたインボイス制度では、立替金の経理処理に注意が必要です。
通常、仕入税額控除を受けるには、自社宛のインボイスが必要です。しかし、取引先のために一時的に立替払いをした場合、受領するインボイスには取引先ではなく立替払いをした自社の名称が記載されます。この場合、インボイスだけでは取引先の名称がないため、取引先は仕入税額控除ができません。
この問題に対処するため、インボイス通達では、取引先が仕入税額控除を受けられる特例を設けています。具体的には、立替払いをした側が、以下の2つの書類をまとめて取引先に渡し、取引先がこれらを保存することで、仕入税額控除が認められます。
・立替元から受け取ったインボイスのコピー
・立替金精算書
この「立替金精算書」には、仕入税額控除に必要な情報(支払対価、適用税率、インボイスの登録番号など)を記載する必要があります。インボイスのコピーが大量になる場合は、コピーの保存を省略して立替金精算書のみを保存することも認められています。
なお、この特例は、立替金精算書に記載された経費が、適格請求書発行事業者からのものであることを確認できる場合に適用されます。ただし、立替払いをした会社自体が適格請求書発行事業者である必要はありません。
