適正な税務申告には、固定資産の修繕・改良費を「資本的支出」(減価償却費)と「修繕費」(単純損金)に区分することが重要です。

資本的支出は資産の価値や耐久性を高めるもので、減価償却されていきます。

一方で、修繕費は原状回復や維持管理のための費用で、発生年度に全額損金算入できます。

両者の区別は難しく、特に機能回復と高機能化が伴う場合に曖昧になりがちです。

例えば、蛍光灯のLED化は節電効果や耐久性向上から資本的支出と思われがちですが、実務では照明設備の消耗品交換とみなし、修繕費として処理することが適切とされています。

修繕費と認められる特例として、以下の条件があります。
・ おおむね3年以内の周期で行われる修理
・1回の修理・改良が20万円未満の少額支出
・判断が困難な場合で、60万円未満または資産の前年度末取得価額の約10%以下の支出

過去の裁決では、賃貸マンションの台所・浴室設備全面取替工事が争点となり、機能回復が目的であっても、実質的に資産価値や耐久性を向上させる工事であれば資本的支出と判断されました。